女性活躍推進とは?
改正内容や進め方を4ステップで徹底解説


「女性活躍推進法の概要について知りたい」
「他社での具体的な取り組みを参考にして、女性の離職率を低下させたい」

このような悩みを抱えている企業の人事担当者は、多いのではないでしょうか。

女性活躍推進とは、仕事を通して女性の活躍を推進するための施策の一つです。

高齢化が進む日本において、労働人口の減少に対する重要な施策として注目されており、2015年に女性活躍推進法が制定されました。

本記事では、女性活躍推進法の概要と改正内容、取り組みによるメリット、進め方をくわしく解説します。


 女性活躍推進法とは?

女性活躍推進法とは、女性の個性や能力が十分に発揮できる社会を実現するために2015年8月に制定された10年間の時限立法です。

女性が活躍しやすい環境や制度を整え、安心して働き続けられるように、企業に対して女性の活躍に関する情報の公表や、行動計画の策定・公表を義務付けています。成立当初は労働者数301人以上の事業主に対して義務付けられていましたが、2019年に法改正され、2022年4月以降は労働者数101~300人以内の事業主も義務の対象となっています。

急速な高齢化社会により労働人口が減少している日本において、本法律は重要な施策として注目されています。

参考:厚生労働省「雇用・労働女性活躍推進法特集ページ」


 女性活躍推進法が制定された背景

女性活躍推進法が制定された背景を解説します。


世界各国と比較して女性の活躍が遅れているため

女性活躍推進法が制定された背景には、女性の活躍が遅れている現状があります。

世界経済フォーラム(WEF)が発表している男女格差を数値化する「ジェンダーギャップ指数」で日本は、146か国中118位という低い順位でした。特に、主要先進7か国(G7)の中では最下位です。(2024年時点)

ジェンダーギャップ指数は「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野から構成されており、女性の管理職の割合が低いことを主な原因として「経済」で低い結果となっています。

内閣府男女共同参画局の調査によると、日本企業における役員の女性割合は約12%であるのに対し、フランスでは45%と大きな格差があります(2022年時点)。

このように、日本は世界的に見ても女性の活躍が遅れており、雇用環境の改善が大きな課題となっています。特に、役員や管理職に女性が少ない企業では、女性の意見が経営に反映されにくくなり、その結果、働きやすい職場づくりが進みにくいという問題があります。


参考:内閣府男女共同参画局「男女共同参画に関する国際的な指数」
参考:内閣府男女共同参画局「共同参画」


労働力が不足しているため

女性活躍推進法が制定された背景には、労働力不足の問題も挙げられます。

少子高齢化に伴う労働力不足は、企業経営に深刻な影響を及ぼしています。こうした課題を解決するためには、女性の労働市場への参画を促進し、誰もが柔軟に働ける環境を整えることが重要です。

厚生労働省の調査によれば、男性高齢者の労働参加率の上昇に加え、女性の労働参加率が大幅に向上すれば、経済成長が加速する可能性があるとシミュレーションされています。

このような背景から、労働力不足の問題を緩和するための施策として「女性活躍推進法」が制定されました。


参考:厚生労働省「女性の活躍推進が求められる日本社会の背景」


 女性活躍推進法の改正ポイント

女性活躍推進法は、2020年6月と2022年4月に内容が一部改正されています。

  • 【2020年6月〜】大企業への情報公表が義務化
  • 【2020年6月〜】プラチナえるぼしの創設
  • 【2022年4月〜】中小企業も対応が義務化
  • 【2022年7月~】情報公表項目に「男女の賃金の差異」を追加

【2020年6月〜】大企業への情報公表が義務化

2020年6月には、労働者301人以上の事業主が情報公表する義務が追加されました。
情報公表項目は以下の2点で、各区分から1項目以上を公表する必要があります。

①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供

②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備

  1. 採用した労働者に占める女性労働者の割合
  2. 男女別の採用における競争倍率
  3. 労働者に占める女性労働者の割合
  4. 係長級にある者に占める女性労働者の割合
  5. 管理職に占める女性労働者の割合
  6. 役員に占める女性の割合
  7. 男女別の職種または雇用形態の転換実績
  8. 男女別の再雇用または中途採用の実績
  1. 男女の平均継続勤務年数の差異
  2. 10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
  3. 男女別の育児休業取得率
  4. 労働者の一月当たりの平均残業時間
  5. 雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間
  6. 有給休暇取得率
  7. 雇用管理区分ごとの有給休暇取得率

【2020年6月〜】プラチナえるぼしの創設

「えるぼし」は、厚生労働省が企業の女性活躍推進状況を評価し、認定する制度です。
女性活躍推進法を促進させるため、2020年6月に従来の「えるぼし」よりもさらに水準の高い「プラチナえるぼし」が創設されました。「えるぼし認定」を受けることで、厚生労働大臣が定める認定マークを利用できます。

例えば、自社商品や広報活動、採用時のPRなどに活用できるため、企業のイメージ向上が期待できるでしょう。

プラチナえるぼし認定企業は、一般事業主行動計画の策定・届出が免除されるなどのメリットがあります。


【2022年4月〜】中小企業も対応が義務化

より多くの企業が女性活躍推進に取り組むことを期待し、対象を拡大しました。

これまで、従業員301人以上の大企業のみの義務でしたが、2022年4月からは労働者101人以上300人以下の事業主も、行動計画の策定・届け出、女性活躍に関する情報公開が必須になりました。


参考:東京労働局 雇用環境・均等部 指導課「行動計画策定かんたんガイド」


【2022年7月~】情報公表項目に「男女の賃金の差異」を追加

常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、情報公表項目に「男女の賃金の差異」が義務付けられました。

男女間賃金格差の現状を踏まえて、更なる縮小を図るため、また女性の職業選択に役立つよう企業の情報公表を促進するのが狙いです。

正規雇用労働者、パート・有期社員(非正規雇用労働者)、全ての労働者の区分について把握しなくてはいけません。


参考:厚生労働省「女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の情報公表について」


 女性の活躍推進が企業にもたらす影響

女性の活躍を推進する企業には、さまざまな良い影響がもたらされます。

●  企業の生産性が向上する
●  優秀な人材が確保できる
●  企業のイメージアップを図れる
●  公的機関から支援を受けられる

それぞれについて解説します。


企業の生産性が向上する

女性の活躍を推進することで、例えばテレワークなど育児と仕事を両立しやすい環境の整備が進みます。このような環境改善により、業務体制が効率化され、残業の削減や生産性の向上が期待できます。

さらに、働きやすい環境が整備されることで、柔軟な働き方が可能になり、社員のモチベーション向上にもつながります。結果的に、企業全体の業務効率やパフォーマンスが改善されるでしょう。


優秀な人材が確保できる

女性のキャリア形成を支援する企業は、男女問わず働きやすい職場環境を提供していると評価されます。

たとえば、女性社員の採用率の向上や管理職への登用、育児や介護に対する支援、休職後の復帰支援などの取り組みは、女性のみならず多様な働き方を重視する人材にとても魅力的です。こうした職場環境を整えることで、優秀な人材の獲得にもつながります。


企業のイメージアップを図れる

女性が活躍する企業は、採用活動や広報活動でのブランディング効果も期待でき、優秀な人材の確保の強みになります。
優秀な人材が集まることで、ほかの従業員に良い刺激を与え、社内が活性化し、生産性も向上するでしょう。

また、行動計画を策定し、届け出を行った企業の中で、女性の活躍に関する取り組みが特に優れている企業は、申請することで厚生労働大臣から「えるぼし認定」や「プラチナえるぼし認定」を受けることができます。これらの認定が広く知られると、企業のイメージアップにもつながります。


公的機関から支援を受けられる

企業が女性の活躍推進に取り組むにあたり、公的機関から助成金などを受けることができます。

例えば、仕事と家庭を両立できるよう、環境を整えている企業に対して「両立支援等助成金」という支援が受けられます。

また、えるぼし認定を取得した企業は、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」を、通常よりも低金利で利用することが可能です。


参考:厚生労働省「3つの認定制度のご案内」


女性活躍推進が進まない3つの原因

国全体で女性活躍を推進していますが、思うように進んでいないのが現状です。その原因について解説します。


男性中心の職場文化が残っている

「男性のほうが出世しやすい」などの男性中心の企業文化や固定概念が、いまだに根強く残っていることが原因の一つとして考えられます。

また、「女性が家庭を優先して当たり前」「重大な仕事は男性が担うべき」などの無意識の偏見が女性の活躍推進の妨げになっているのも要因の一つでしょう。

男性中心の企業風土が強い場合、女性社員が望むキャリア形成がしにくく、モチベーションの低下につながりかねません。

女性活躍推進の必要性を企業全体で、理解してもらう必要があります。


仕事と育児の両立支援

女性活躍推進がなかなか進まない原因の一つに、育児支援サポートなどの制度の不十分さが挙げられます。

実際、妊娠・出産・育児を機に離職した3歳未満の子どもを持つ20~40代の女性を対象にした調査では、離職理由に「家事・育児に時間を割くために辞めた」が31.7%と最も多く、次いで「仕事と育児の両立が難しくて辞めた(就労を継続するための制度がなかった場合を含む)」が28.5%に上っています​。

さらに「仕事と育児の両立の難しさで辞めた」と回答した人について、その詳細な理由をみると、「自分の気力・体力がもたなそうだった(もたなかった)」が52.5%との回答割合が最も高く、次いで「勤務先に育児との両立を支援する雰囲気がなかった」が41.3%となっています。

特に役職に就くと「仕事量が増えて大変になる」「家庭との両立が難しい」と感じる女性が多いのが現状です。

育児中は、突発的な休みや看護が必要になることが多いため、仕事と育児の両立支援が不十分な企業では、女性が活躍しにくい状況になります。

このように、育児と仕事を両立するための制度が整っていない企業では、女性のキャリアアップを支える環境が不足しており、より多くの女性が職場で活躍するためには、柔軟な制度の整備が不可欠です。

参考:厚生労働省委託事業「仕事と育児等の両立支援に関するアンケート調査報告書」


目標とする女性管理職が少ない

実際に職場で女性管理職が働く姿をみて、「こうなりたい」という憧れの存在がいないことが要因の一つとして考えられるでしょう。

厚生労働省の調査によると、課長相当職以上(役員を含む)の女性管理職を有する企業の割合は54.2%でした。

しかし、女性管理職が存在する企業であっても、その多くが少数にとどまっているのが現状です。具体的には、課長相当職以上の管理職のうち、女性が占める割合は12.7%で、依然として男女間で大きな格差が存在しています。

こうした状況が職場でのロールモデル不足や、女性がキャリアアップを目指す際のハードルとして影響していると考えられます。

企業には女性管理職を増やすための制度を導入することが求められます。


参考:厚生労働省「令和 5年度雇用均等基本調査」


女性活躍推進法における厚生労働省の取り組み

厚生労働省が行っている女性活躍推進法における、2つの取り組みについて紹介します。

  • 女性の活躍推進企業データベースの運営
  • 優良企業に対して「えるぼし認定」制度の導入

女性の活躍推進企業データベースの運営

厚生労働省は「女性の活躍推進企業データベース」を運営しており、企業が女性活躍推進に関する情報を発信するサイトに登録できます。このデータベースを活用することで、企業のイメージアップに繋がり、積極的に取り組んでいる企業として広く認知されるチャンスが増えます。

登録する内容には、採用した労働者に占める女性の割合、月々の平均残業時間、有給取得率などが含まれ、誰でも閲覧できます。

このデータベースを通じて、企業がどのように女性の活躍を促進しているのかを示し、学生や求職者、一般の人々に企業の取り組みをアピールすることが可能です。


優良企業に対して「えるぼし認定」制度の導入

「えるぼし認定」は、一定の基準を満たした企業に授与される認定制度です。この制度は企業の女性活躍推進の取り組みを「見える化」し、社会的な信頼性を高めることを目的としています。

認定基準として以下の5つがあります。

  • 男女別の採用における競争倍率(応募者数/採用者数)、もしくは採用した労働者に占める女性の割合
  • 継続勤務年数の男女差
  • 法定時間外労働、法定休日労働の少なさ
  • 女性管理職の割合
  • 正社員としての再雇用の実績等

えるぼし認定には3段階の認定ランクに加え、さらに上位の「プラチナえるぼし」もあります。

認定されることで、採用や広報活動にえるぼしの認定マークを付けられるようになるため、企業ブランドの向上や採用力強化に役立ちます。


参考:厚生労働省「雇用環境・均等行政をめぐる 最近の動き」


 企業が女性活躍推進法に取り組む手順

女性活躍推進法に取り組む手順は、以下の4ステップで行います。

  1. 社内の女性の働き方に関する状況把握・課題分析
  2. 行動計画の策定
  3. 一般事業主行動計画策定・変更届を都道府県労働局へ提出
  4. 取り組みの実施・効果測定

それぞれの手順を解説していきます。

参考:厚生労働省 度道府県労働局雇用環境・均等部


1.社内の女性の働き方に関する状況把握・課題分析

まずは、自社の女性社員の活躍状況を把握します。把握した状況から、以下の4つの基礎項目の分析が必要です。

  1. 女性の雇用率の割合
  2. 男女の平均継続勤務の年数の差分
  3. 各月ごとの労働者の残業時間
  4. 女性管理職の割合

1、2については雇用管理区分(職種や雇用形態など)ごとに把握しなくてはいけません。また、選択項目として採用や評価・登用などの実績の状況把握も効果的でしょう。

各項目は計算方法が定められているため、注意が必要です。


2.行動計画の策定

手順1で分析した内容をもとに、行動計画を作成します。行動計画には、計画期間、数値目標、取組内容、取組の実施期間を盛り込む必要があります。

また、計画期間は2025年度(令和7年度)までの期間で各事業主の実情に応じておおむね2〜5年間に区切り、定期的に行動計画の進捗を検証しながら改定を行いましょう。

数値目標の例は、以下の通りです。

数値目標例

  • 男女の勤続年数の差を〇年以下とする
  • 従業員全体の残業時間を月平均〇時間以内とする
  • 管理職に占める女性比率を〇%以上とする

策定・変更した行動計画は、非正規社員を含めた全ての労働者に周知します。

さらに、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」などへの掲載を行い、外部への公表も必要です。行動計画の内容は、原則として男女雇用機会均等法(均等法)に違反しない内容にしなければならないため注意しましょう。


3.一般事業主行動計画策定・変更届を都道府県労働局へ提出

行動計画を作成後、管轄の都道府県労働局へ行動計画を提出します。提出方法は電子申請、郵送または持参から選択可能です。

一般事業主行動計画策定届の参考様式は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。記入例は、女性活躍推進のパンフレットに詳細が記載されているので、参考にしてください。


4.取り組みの実施・効果測定

行動計画を提出後は、定期的に計画の進行状況や効果などを評価していきます。

計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のPDCAサイクルを確立しましょう。

必要に応じて、労働者や労働組合等に対してアンケート調査や意見交換等を実施して、職場の実情を的確に把握していくことが重要です。


女性活躍推進を成功させる4つのポイント

女性の活躍推進を成功させるためには、4つのポイントがあります。


女性が長く働ける環境を作る

長く働ける環境を作ることで、女性の活躍を後押しでき、企業の成長に寄与できる可能性が高まるでしょう。例えば、時短勤務やフレックス制度、テレワークの導入などを行い、長く働ける環境を作ることが大切です。

また育児休暇や復職支援制度など、スムーズに復職できる体制を整えることも女性が安心して働きやすい環境作りに役立ちます。


社外の人材と接点を持つ機会を作る

女性社員が活躍できるように、研修などの機会を設けて社外の人材と接点を持てる場を提供するのもよいでしょう。

横との繋がりを持つことで、自分の将来についてイメージを膨らませることができます。

ヨネックス株式会社では、社内外からロールモデルを招いた講演会を実施しているだけでなく、女性役職者に特化した研修を行い、さらなる活躍をサポートしています。

その結果、管理職(課長以上)に占める女性の割合は、2015年度には6.5%でしたが、2023年度には23.5%と右肩上がりで増加してきました。社外の人材と関わることで、女性社員は自分のキャリアについてイメージがしやすくなり管理職の増加が期待できます。


参考:ヨネックス株式会社「ダイバーシティの考え方」


経営層が積極的に取り組みに関与する

経営陣が経営戦略として女性活躍推進の必要性を示し、積極的に取り組みに関わることで、より社内全体での取り組みが活発になります。

経営層が課題意識を持ち、積極的に取り組むことで、推進のスピードを加速させることができます。

例えば、DACグループでは、社長自ら女性が活躍する環境の必要性に気付き、推進委員会の設置を行い、多様な勤務制度や研修制度を設けました。

その結果、2016年時点で女性管理職の比率がグループ全体で38%となったほか、男女ともに仕事の生産性で評価される企業風土が根付いてきています。

このように経営陣が積極的になることで、施策や制度がより実効性のあるものになるため、女性の活躍がスムーズに進みやすくなるでしょう。


参考:株式会社DACホールディングス「ダイバーシティの推進」


管理職などの周囲を巻き込んだ施策を行う

女性活躍推進の重要性や具体的な目標を、社内全体に共有しながら、全社員の理解を深めることが大切です。

管理職への研修も実施することで、自身を見直すきっかけにも繋がり、社員のロールモデルとなりうる女性管理職が増える可能性が高まるためです。

例えば、東急株式会社では女性社員にロールモデルを見つけてもらい、さらなる活躍を促すため、女性社員や管理職を対象とした研修や女性管理職を集めたフォーラムを開催しています。
その結果、2021年の管理職に占める女性の割合は10.1%でしたが、2023年に14.9%へ増加しました。

このように女性の管理職が増えると、女性社員がキャリアを築きやすくなり、組織全体のモチベーションも高まるでしょう。


参考:東急株式会社「人材データ|


女性活躍推進法の3つの成功事例をご紹介

女性の活躍推進法においての成功事例を3つ紹介します。


サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は、チームワークを支援するグループウェアを開発、販売している企業です。

「多様な個性が活躍できる」働きやすい環境を目指し行動計画を掲げています。例えば、2021年~2026年の目標として、仕事と家庭の両立支援の取り組み指標となる「両立のための環境整備」の分野の得点を130点から150点以上にすることとしています。

そのために最長6年間の育児・介護休暇の取得制度や、時間と場所を個人の事情で決められる「働き方宣言制度」を運用中です。

働き方宣言制度により、女性の68%が在宅比率50%以上の働き方を宣言し、家庭と仕事の両立を実現しやすい環境を整えています。


参考:厚生労働省「企業データ詳細」


株式会社パソナグループ

株式会社パソナグループは、人材紹介や人材派遣などを中心とした人材サービスを提供している会社です。パソナグループでは、「誰もが活躍できる環境整備」に取り組んでいます。

主な取り組みとして、ライフサポートコースやハローベビー休暇、パソナファミリー保育園、復職プログラムなどの多数の取り組みを実施中です。

最高位の3段階目のえるぼし認定の認証を受けているほか、管理職に占める女性の割合は47.8%(2024年5月期)と、年々増加傾向にあります。

多数の取り組みが実を結び、女性の活躍を後押ししています。


参考:株式会社パソナグループ「女性活躍推進法に基づく「えるぼし」企業 最上位に認定」
参考:株式会社パソナグループ「人材育成」


キユーピー株式会社

キユーピー株式会社は、マヨネーズやドレッシングなどの調味料を製造、販売している大手食品メーカーです。キユーピーは、「女性の活躍が当たり前になる会社への変革の挑戦」を目標に掲げ施策を実施しています。

例えば、育児休業復帰者を対象とした制度知識・キャリアイメージの形成を支援しており、トップダウンとボトムアップの双方で両立支援制度の変革に取り組んでいます。

また、育児休業によるキャリア中断が処遇に影響を与えないように、人事制度の見直しに向けた取組なども実施中です。

時代の変化に即した制度改革を継続して行うことで、男女問わず長く働きやすい職場環境を整えています。


参考:厚生労働省「キユーピー株式会社 (製造業)」


女性活躍推進で女性が活躍できる職場環境を実現しよう

女性活躍推進法に取り組むことで、女性にとって働きやすい環境が整い、人材不足の解消や企業のイメージアップにも繋がります。

まずは自社の課題を把握して、女性社員のニーズを満たす施策を考えることが必要です。

今回紹介した成功ポイントや事例を参考に、中長期で継続的に施策を実施していきましょう。

【監修】

佐野 真子

キャリアコンサルティング総研株式会社代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント

企業のセルフキャリアドック導入及び3000名以上の従業員面談、両立支援に携わる。厚生労働省が進めるキャリア形成・リスキリング事業や就職ガイダンス事業に携わり、キャリアデザインセミナーや面談を実施。キャリコンバンク®事業では、企業顧問及び社外相談窓口を通じて、AI時代の働き方についても企業の事業創造とキャリア形成を支援している。

著書
「現代版キャリア革命:昭和世代のための頑張りすぎない生き方を手に入れる方法」
「ビジネスパーソンのための色彩心理活用術 キャリアカラーセラピー®」