正常な生理周期とは?
安定しない原因や生理周期に伴う心身の変化について解説
生理周期は体調やストレスなどによる影響を受けやすいため、毎月多少のずれが生じることは珍しくありません。
しかし、正常な範囲よりも短すぎたり長すぎたりする場合、何らかの病気が潜んでいる可能性もあります。本記事では、正常な生理周期や生理が安定しない原因、生理周期に伴う心身の変化について解説します。
生理周期とは
生理周期とは、生理開始日から次回の生理開始日の前日までの日数のことで、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスによって調整されています。
体調やストレス、生活習慣の乱れ、病気などによって分泌バランスが乱れると生理周期も乱れやすくなります。
生理周期は自分の身体の状態を知る重要な手掛かりになるため、自分の生理周期はどれくらいなのか、正常な範囲内にあるのかきちんと把握しておくことが大切です。
生理周期の計算方法
生理周期は、生理が始まった日を1日目としてカウントを始めます。次の生理開始日の前日までカウントを続けていき、次の生理が始まったらまた1日目にリセットしてカウントを始めます。
たとえば、生理開始日が1月1日で次回の生理開始日が1月30日の場合、生理周期は29日になります。
生理周期は、体調やストレスなどによる影響でバラつきが起こりやすいため、正確な生理周期を求めるなら最低でも3ヶ月分のデータを記録し、その平均値から生理周期を導き出しましょう。
生理周期がバラバラな時の計算方法は?
生理周期が短くなったり、長くなったりとバラバラな状態が続く場合は、少なくとも5か月分のデータを記録し、平均値を出して生理周期を導き出しましょう。
ただ、生理周期が不安定な場合は周期によって日数に大きくズレが生じるため、平均的な生理周期はあまり参考にはなりません。
正常な生理周期と期間
正常な生理周期は25~38日間であり、生理周期が24日以下のものは「頻発月経」、39日以上のものは「稀発月経」と呼びます。
また、生理が始まってから終わるまでの正常な期間は4~7日間です。生理期間が2日以下のものは「過短月経」、8日以上続くものは「過長月経」と呼びます。
生理周期や期間が正常な範囲よりも短かったり長かったりする場合は、ホルモンバランスの乱れや卵巣機能の低下など身体に何らかのトラブルが生じている可能性が高いので注意が必要です。
初潮から閉経までの年数は38.2年
初潮から閉経までの年数は個人差が大きいですが、平均的な年数は38.2年です。1周期あたりの生理日数を5日とすると、38.2年のうち約6.2年は生理期間ということになります。
初潮の平均年齢は12.3歳
初潮とは初めて生理を迎えることで、日本人女性の平均年齢は12.3歳です。小学校5~6年生で初潮を迎える女子が増え始め、中学校2~3年になるまでにほぼ全員が初潮を迎えます。
初潮が近づいてくると、女性ホルモンの分泌による影響で「胸が少しずつ膨らむ」「全体的に丸みのある女性らしい体つきになる」「ワキ毛や陰毛が生え始める」「おりものが出るようになる」など身体に変化が見られるようになります。
参考:東京大学医学部付属病院 女性診療科 産科「無月経の原因と治療法について知ろう!」
閉経の平均年齢は50.5歳
閉経とは生理が完全に停止した状態のことで、医学的には自然な状態で1年以上生理がない場合に閉経と判断されます。
日本人女性の閉経の平均年齢は50.5歳ですが、60歳近くまで閉経を迎える女性もいれば、40代前半で閉経を迎える女性もいるなど個人差が大きいです。
閉経が近づいてくると、卵巣機能の低下によって月経周期が乱れたり、排卵を伴わない月経が起こったりしやすくなります。その後は徐々に月経回数が減り、最終的に閉経を迎えます。
参考:日本産婦人科医会「更年期障害について教えて下さい。」
生理周期の4つの期間で起きる心と体の変化
生理周期は、以下4つの期間で構成されています。
● 体の調子が良くなりやすい卵胞期
● 徐々に精神的に不安定になる排卵期
● 月経前症候群の症状が目立ちやすい黄体期
● 生理期間である月経期
それぞれの期間では女性ホルモンの分泌バランスが異なり、その影響で女性の心と体の調子も大きく変化します。
体の調子が良くなりやすい卵胞期
月経が終わってから排卵期を迎えるまでの期間を「卵胞期」と呼びます。卵胞ホルモンであるエストロゲンの分泌量が増加し、赤ちゃんを迎えるための子宮内膜が徐々に厚くなる時期です。
エストロゲンには代謝をアップさせる働きがあるため、肌や髪の毛のツヤが良くなり、ダイエットの効果も得られやすくなります。
また、エストロゲンの分泌量が増えると副交感神経が優位になるため、精神的にも安定しやすく、心身共に快適に過ごせる女性が多いです。
徐々に精神的に不安定になる排卵期
排卵が起こる前後の時期を「排卵期」と呼び、健康的な女性の場合は月経が始まってから約14日後に始まります。
エストロゲンの分泌量がピークに達すると、下垂体から黄体形成ホルモンが大量に分泌され、成熟した卵子が卵胞から飛び出る排卵が起こります。
この時期はエストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスが変化するタイミングなので、その影響によって精神的・心身的に不調をきたすケースも多いです。
月経前症候群の症状が目立ちやすい黄体期
排卵後の卵子が受精を待つ期間を「黄体期」と呼びます。排卵された卵胞が黄体に変化し、黄体ホルモンであるプロゲステロンが多く分泌され、赤ちゃんを迎えるための子宮内膜がさらに厚くなり、妊娠に適した状態です。
しかし、プロゲステロンの影響により、情緒不安定やイライラ、抑うつ、眠気、だるさ、胸の張り、頭痛、腰痛など月経前症候群(PMS)の症状が起こりやすくなります。
また、プロゲステロンには体内の水分や栄養素をため込む作用があるため、むくみや冷えが起こりやすいです。
生理期間である月経期
排卵後に妊娠が成立しなかった場合は子宮内膜が剥がれ落ち、血液と共に排出される月経(生理)が始まります。
月経期に移行すると、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が急激に低下します。基礎体温も月経開始とともに低下し、排卵が起こるまで低温期が約14日続く仕組みです。
異常な生理周期の種類
生理周期や期間が正常な範囲ではない異常な生理周期には、下記の4種類があります。
● 稀発月経
● 頻発月経
● 過多・過長月経
● 過少・過短月経
ここからは、上記の生理周期をそれぞれ詳しく解説します。
生理周期が長い稀発月経
稀発月経とは、生理周期が39日以上あり、1年に10回以下しか月経が起こらない状態のことです。
稀発月経は、ホルモンバランスの乱れや病気による影響で排卵がスムーズに行われないことが原因で起こります。排卵を伴わない稀発月経の場合、無月経や不妊症の原因にもなるため注意が必要です。
長期間放置すると治療をしても生理周期が改善しなかったり、妊娠しづらくなったりする恐れがあるため、稀発月経が続いたら早めの治療をおすすめします。
生理周期が短い頻発月経
頻発月経とは、生理周期が24日以下で、1ヶ月に月経が2~3回ある状態のことです。頻発月経は、初潮が始まって間もない思春期の女子や更年期の女性によく見られます。
思春期や更年期に頻発月経が見られる場合はあまり心配ありませんが、それ以外の時期に見られる場合は黄体機能不全や卵胞期短縮症などの病気が隠れている可能性があります。
病気だった場合に放置すると不妊や流産の原因にもなるので、妊娠を希望する場合は早期の治療が必要です。
生理の症状が重すぎる過多・過長月経
過多月経とは、経血量が正常な範囲よりも多い状態(1周期あたりの経血量が150ml以上)のことです。下記の症状に当てはまる場合は、過多月経の可能性があります。
● ナプキンが1時間もたないほど出血量が多い
● 昼でも夜用の大きいナプキンを使わないと経血が漏れてしまう
● レバー状の大きな塊になった経血が見られる
一方で過長月経とは、出血が8日以上続く状態のことです。過多・過長月経は、主にホルモンバランスの乱れによって起こりますが、子宮の病気や黄体機能不全などが原因の可能性もあります。
生活習慣を改善しても過多・過長月経が長く続くようなら、一度婦人科を受診してください。
生理の症状が軽すぎる過少・過短月経
過少月経とは、経血量が正常な範囲よりも少ない状態(1周期あたりの経血量が20ml以下)のことです。
通常、経血量は生理の2日目にピークを迎えますが、以下の症状に当てはまる場合は過少月経の可能性があります。
● 2日目でもナプキンにうっすらと血が付く程度しか出血しない
● おりものシートでも間に合う
一方で過短月経とは、通常4~7日続く生理が2日以内に終わってしまう状態のことです。過少・過短月経は初潮を迎えたばかりの思春期や更年期によく見られる症状なので、しばらく様子を見れば改善するケースが多いです。
成熟した女性で過少・過短月経が見られる場合は、ホルモンバランスの乱れや子宮・甲状腺の病気が原因として考えられます。
放置すると不妊症の原因になる可能性もあるため、特に妊娠を希望する場合は婦人科に相談してみましょう。
生理周期が長くなる原因
生理周期が正常な範囲よりも長くなる原因としては、主に下記の3つが挙げられます。
● ホルモンバランスの乱れ
● 高プロラクチン血症
● 多嚢胞性卵巣症候群
ここからは、上記の原因をそれぞれ詳しく解説します。
ホルモンバランスの乱れ
生理周期の長期化は、男性ホルモンの働きが優位になっていたり、プロラクチンというホルモンが多く分泌されていたりと、ホルモンバランスの乱れによって引き起こされるケースが多いです。
女性の身体は非常にデリケートなので、無理なダイエットや睡眠不足、運動不足、過労、ストレスなど心身に負担がかかるとホルモンバランスが乱れてしまいます。
ホルモンバランスを整えて生理周期を安定させるためにも、ストレスはできるだけためないようにし、規則正しい生活を送ることを心掛けましょう。
高プロラクチン血症
プロラクチンとは、出産後に母乳を作ったり、生理を抑えたりする作用のあるホルモンのことです。通常、プロラクチンは出産後に分泌量が増えますが、出産後や授乳中でもないのにプロラクチンが多く分泌されてしまう状態を「高プロラクチン血症」といいます。
プロラクチンの分泌量が増えると、生理不順や無月経、不妊症などのトラブルが起こりやすくなります。
主な原因は、ストレスや薬の副作用、脳下垂体の腫瘍などですが、「出産していないのに母乳が出る」などの症状が出ない限り、自分で気付くのが難しい病気です。
高プロラクチンの数値は採血によるホルモン検査で調べられるので、気になった方は病院で一度血液検査を受けてみてください。
多嚢胞性卵巣症候群
多嚢胞性卵巣症候群とは、卵胞の発育に異常があり、本来排卵されるはずの卵胞が卵巣内にたくさんとどまってしまうことで排卵に支障をきたす病気です。
発症すると排卵がスムーズに行われなくなるため、稀発月経や無月経、不妊症が起こる場合があり、20~30代の若い女性に多く見られます。
主な原因は、卵胞の発育を抑制したり卵巣を包む膜を厚くしたりする作用がある「アンドロゲン」という男性ホルモンの分泌過多によるものです。
多嚢胞性卵巣症候群を治療せずに放置すると子宮体がんのリスクも上昇するとの報告もあるため、不安であれば婦人科を受診してみてください。
生理周期が短くなる原因
生理周期が正常な範囲よりも短くなる原因としては、主に下記の3つが挙げられます。
● 卵巣ホルモン機能の低下
● 生理ではなく不正出血が生じている
● 卵胞期短縮症
ここからは、上記の原因をそれぞれ詳しく解説します。
卵巣ホルモン機能の低下
卵巣ホルモン機能が低下すると、排卵後に十分な黄体ホルモンが分泌されません。排卵日から生理開始までの黄体期が短くなるため、生理周期全体も短縮されてしまいます。
卵巣ホルモン機能が低下する原因は、加齢やストレス、過度なダイエットや運動、睡眠不足、痩せすぎ、太りすぎ、卵巣の病気などが挙げられます。
生理ではなく不正出血が生じている
1ヶ月に2~3回以上出血があるのは、生理周期が短くなっているからではなく、不正出血が生じていることも考えられます。
不正出血とは、月経以外に女性器から出血している状態のことで、ホルモンバランスの乱れや膣・子宮・卵巣の病気などが原因で起こります。
不正出血を放置すると不妊症のリスクや命にかかわる危険性もあるため、不安であれば一度婦人科で検査を受けることをおすすめします。
卵胞期短縮症
卵胞期短縮症とは、通常よりも卵胞期が短いことで生理周期全体も短くなり、28日よりも短い周期で月経がくる状態のことです。
卵胞期短縮症を発症すると卵胞が十分に育たず、妊娠しにくくなったり早期流産をしやすくなったりして不妊症になる場合があります。卵胞期短縮症の主な原因は、加齢によるものです。
加齢によって卵巣機能が低下すると、脳から中枢への指令が上手く伝達できなくなり、「卵巣刺激ホルモン」が大量に分泌される場合があります。
すると卵胞の発育が早まり、排卵も早く起こってしまいます。妊娠を希望しない場合は治療をしなくても特に問題はありませんが、妊娠を希望する場合はホルモン療法による治療が必要です。
生理が重くなる・日数が長くなる原因
生理時の経血量が多すぎたり、生理の日数が正常な範囲よりも長くなったりする原因としては、主に下記の3つが挙げられます。
● 黄体ホルモン機能の低下
● 子宮の病気の影響
● 無排卵性周期症による影響
ここからは、上記の原因をそれぞれ詳しく解説します。
黄体ホルモン機能の低下
黄体ホルモン機能が低下すると、排卵後の黄体ホルモンの分泌が不十分になり、子宮内膜が十分に形成されない場合があります。
子宮内膜の形成が悪いと、生理前に助走出血のような少量の出血期間が現れることがあるため、結果として生理周期も長引いてしまいます。
黄体ホルモン機能の低下が起こる原因は、不規則な生活習慣やストレス、加齢、卵巣の病気などが挙げられます。
子宮の病気の影響
生理の症状が重くなったり、生理期間が長引いたりするのは、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮頚がんなど子宮の病気にかかっている可能性もあります。
子宮の病気にかかると、子宮内膜が通常よりも厚くなったり、子宮そのものが大きくなったりして経血量が増える場合があります。
女性の子宮の病気は初期だと自覚症状がほとんどないため、過多月経や過長月経が長引く場合は一度婦人科で検査を受けることをおすすめします。
無排卵性周期症による影響
無排卵性周期症とは、月経のような出血があるにもかかわらず排卵をともなっていない状態のことで、少量の出血が長期間続くケースが多いです。
無排卵性周期症が起こる主な原因は過度なダイエットやストレス、薬剤などで、特にホルモンバランスが乱れやすい思春期や更年期の女性に多く見られる症状です。
基礎体温を付けても低温期と高温期の差が見られないため、低温期の状態がずっと続いている場合は無排卵性周期症が疑われます。
無排卵の状態を放置すると不妊症の原因にもなるため、妊娠を希望する女性は早急な治療が必要になります。
生理が軽くなる・日数短くなる原因
生理時の経血量が少なかったり、生理の日数が正常な範囲よりも短くなったりする原因としては、主に下記の3つが挙げられます。
● 女性ホルモンの分泌の低下
● ピルの服用による影響
● 子宮や甲状腺の病気による影響
ここからは、上記の原因をそれぞれ詳しく解説します。
女性ホルモンの分泌の低下
女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が低下すると、子宮内膜が厚くならないため、生理時の経血量も減少します。
また、プロゲステロンの分泌量が少ない場合も子宮内膜を維持できず、剥がれ落ちる子宮内膜の量が減少するため、経血量も少なくなります。
女性ホルモンの分泌の低下は、生活習慣の乱れやストレス、過度なダイエットによって引き起こされるケースが多いため、なるべくストレスをためないようにし、規則正しい生活を送ることを心掛けましょう。
ピルの服用による影響
ピルには子宮内膜の増殖を抑制する作用があるため、生理痛や生理不順の治療でピルを服用している場合も経血量が少なくなったり、生理日数が短くなったりするケースがあります。
低用量のピルにも少量の女性ホルモンが配合されているため、服用すると脳は女性ホルモンの分泌は必要ないと判断します。すると排卵や子宮内膜の増殖が抑制されるため、子宮内膜が薄くなり生理時の経血量も少なくなる仕組みです。
ピルの副作用による過少月経・過短月経は、ピルの服用を止めることで改善されるので、特に心配は必要ありません。
子宮や甲状腺の病気による影響
子宮や卵巣の病気があると、女性ホルモンの分泌量が低下したり、子宮内膜が正常に増殖・成熟しなかったりする場合があるため、剥がれ落ちる子宮内膜が薄くなることで生理時の出血も少なくなります。過少月経・過短月経が引き起こす可能性がある病気は以下の通りです。
● 卵巣機能不全
● 黄体機能不全
● 多膿胞性卵巣症候群
● 先天的な子宮の発育不全
また、バセドウ病や橋本病など甲状腺の病気により、甲状腺機能に異常をきたすことで生理不順が起こることもあります。
病気が原因の場合、放置するとさらに症状が悪化し、ほかの病気や不妊症のリスクも高める可能性があります。
過少月経・過短月経が長く続くようなら、子宮や卵巣、甲状腺に問題がないか、病院で検査を受けることをおすすめします。
生理周期が乱れた時の対処法
生理周期は、生活習慣の乱れや過度なダイエット、過労、ストレスなどによる影響で乱れてしまうことも少なくありません。
生理周期が乱れたら、まず下記の対処法を試してみましょう。
● 生活習慣を整える
● 過度な運動やダイエットは控える
● ストレスをためないようにする
● 仕事が原因の場合は業務量・内容を見直す
ここからは、上記の対処法をそれぞれ詳しく解説します。
生活習慣を整える
生理周期の乱れを改善するには、食事や睡眠、運動など生活習慣を整えることが大切です。偏った食生活や睡眠不足、運動不足、過度な飲酒や喫煙など、生活習慣の乱れは心身共にさまざまな不調をきたし、生理周期にも悪影響を与えます。
栄養バランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動で健康的な体を作り、ホルモンバランスを整えることで生理周期の改善が期待できます。
過度な運動やダイエットは控える
アスリート並みの激しい運動や過度なダイエットによって体重が急激に減少すると、女性ホルモンの分泌量が低下し、生理周期の乱れや無月経を引き起こす可能性があります。
個人差はありますが、一般的にBMIが17未満、体脂肪率が22%以下になると生理不順のリスクが高まります。
そのため、過度な運動やダイエットは控え、適切な食事と運動で適正な体重と体脂肪率をキープしましょう。
ウォーキングやジョギング、水泳、ヨガなど身体への負担があまり大きくない運動をおこなうのがおすすめです。
ストレスをためないようにする
精神的・身体的に過度なストレスを感じると、女性ホルモンの分泌が抑制され、生理周期の乱れにつながることがあります。
ストレスは辛い体験や悲しい出来事だけではなく、結婚や進学、就職、引っ越しなど一見すると嬉しい出来事でも気づかないうちに感じていることが多いです。
すべてのストレスを発散させるのは難しいですが、没頭できる趣味や心が休まる場所で気分をリフレッシュさせ、なるべくストレスをためこまないようにしましょう。
仕事が原因の場合は業務量・内容を見直す
仕事量が多かったり、肉体労働が多かったりして生理周期が乱れている場合は、業務量や内容を見直す必要があります。
過度なストレスや過労、睡眠不足は生理周期が乱れる原因になるので、仕事が原因で心身に大きな負荷がかかっているなら上司に一度相談してみましょう。
生理周期のずれによる病院に行くべき基準
生理周期は体調やストレスによる影響で左右されやすいため、特に原因がなくても数日程度ずれが生じるのは珍しくありません。
しかし、生理周期に大きくずれが生じている場合や数ヶ月生理がこない場合は、卵巣機能の低下や病気、妊娠など何らかの原因がある可能性も考えられるので、早急に病院を受診する必要があります。
ここからは、生理周期のずれで病院に行くべき基準を解説します。
【妊娠の可能性なし】3ヶ月来なかった場合
初潮を迎える前・妊娠中・授乳中・閉経後の女性なら問題ありませんが、それ以外の女性で3ヶ月以上生理が来ない場合は、正常に排卵が行われていない可能性があります。
無排卵の状態だと、性交渉をしても精子と卵子が受精できないので妊娠できません。また、無排卵の状態を放置しておくと、卵巣機能に大きな影響を及ぼす可能性があるため、治療をしても妊娠が難しくなる恐れがあります。
初潮を迎えてから2~3年は生理周期が安定しないのでしばらく様子を見てもよいですが、そうでなければ3ヶ月を目安に受診を検討してください。20歳以上で生理周期がいつも安定しない女性も、一度医師の診察を受けましょう。
【妊娠の可能あり】1週間経過し妊娠検査薬で陽性の場合
妊娠の可能性があり、規則正しく生理がきている女性の場合は、生理が遅れてから1週間経過した時点で妊娠検査薬を使用します。
妊娠検査薬で陽性反応が出たら、必ず病院を受診して妊娠の確定診断を受けてください。ただし、1週間より早く使用すると妊娠していても陽性反応が出ない可能性があります。
妊娠検査薬が陰性だった場合でも、生理がこない状態がさらに続くようなら病気の可能性もあるので、早めの受診をおすすめします。
生理前や生理中にで起こりやすい不調
生理前や生理中は、精神的・身体的にさまざまな不調が起こりやすいです。ここでは、生理の前や最中に起きやすい不調について紹介します。
生理が来るサイン「PMS」で起こりやすい不調
PMS(月経前症候群)とは、生理の3~10日前に現れる精神的・身体的な不調の総称です。以下のように、精神的・身体的の両方に症状が出やすいです。
● 情緒不安定
● イライラ
● 不安感
● 気分の落ち込み
● 胸の張りや痛み
● 眠気
● だるさ
● 動悸
● むくみ
PMSの症状や程度は個人差が大きく、人によっては日常生活や仕事に支障をきたすケースも少なくありません。
生理中に起きやすい不調
生理中にも、以下のようなさまざまな不調が現れやすいです。
● 下腹部痛や腰痛
● 下痢
● 吐き気
● 胃のむかつき
● 眠気
● 貧血
生理中の不調も個人差が大きく、症状がほとんど現れない女性もいれば、日常生活や仕事に支障をきたすほど症状が重い女性もいます。
生理前中の不調に対する対処法
生理前や生理中の不調に対しては、下記の方法で対処するのがおすすめです。
● 体を温める
● 痛み止め・吐き気止めに頼る
● 周囲の人に理解してもらう
ここからは、上記の対処法をそれぞれ詳しく解説します。
体を温める
生理前や生理中の痛みは、体の冷えやストレスによって血流が滞ると悪化しやすいです。
湯船に浸かったり、カイロや湯たんぽを活用したりして体を温め、痛みにつながる冷えを防止しましょう。
痛み止め・吐き気止めに頼る
生理痛や吐き気が辛い場合は、我慢せず早めに痛み止めや吐き気止めの薬を飲みましょう。薬は効果が現れるまでに30分ほどかかるため、症状がひどくなる前に飲むようにしてください。
周囲の人に理解してもらう
生理前や生理中の症状が重くて辛い場合は、周囲の人に理解してもらうことも大事です。体調が悪いのに我慢をして無理をすると、症状が余計に悪化してしまいます。
家族やパートナー、職場の人に体調が悪いことを伝え、家事を代わってもらったり、仕事を手伝ってもらったりするなど協力を仰ぎましょう。
会社によっては、生理中に使える福利厚生が用意されているケースもあるので、勤務先で確認してみてください。
生理に関して会社が導入している福利厚生
近年は、生理休暇や生理用品の購入補助、低用量ピルにかかる費用の一部負担など、生理に関する悩みをサポートしてくれる会社が増えてきています。
こういった会社なら、仕事に支障をきたすほど生理痛がひどい場合に休暇を気軽に取得できるので、上手に生理と付き合いながら働き続けられます。
生理周期の乱れや生理前・生理中の不調でお悩みの女性は、福利厚生でサポートが受けられないか勤務先で確認してみてください。
生理周期が乱れたら原因や症状に合わせて適切に対応しよう
生理周期の乱れは、生活習慣の乱れやストレス、過度なダイエット、卵巣や子宮の病気などが原因で起こります。
生理周期の乱れを放置すると不妊症につながる可能性もあるため、特に妊娠を希望している女性は注意が必要です。
生活習慣を改善しても生理周期の乱れが続くようなら、放置はせず婦人科を受診して適切な治療を受けてください。
【監修】
阿部 一也
板橋中央総合病院 医長
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。
現在は板橋中央総合病院勤務 専門は産婦人科。